SecHack365 2023 / 1st Event WeekReport 1st Event Week
イベントデイ(6月17日)
01自分の枠を突き破る成長に期待(オリエンテーション)
オリエンテーションの皮切りにカメラの前に座ったのは、国立研究開発法人情報通信研究機構(以下NICT)執行役 兼 サイバーセキュリティ研究所の盛合所長です。民間企業を経て、2021年4月にNICT史上初の女性研究所長として現職に就任。2023年4月からはダイバーシティ推進室長も兼任しています。
盛合所長はまず、「PlayStationの研究・開発のなかで、セキュリティ部分に携わっていました」と前歴を披露。開発に関わるワクワク感をトレーニーたちに感じさせつつ、「SecHack 365事業について」をテーマにNICTの活動内容やSecHack365の位置付け注1、トレーニーたちへの期待を語りました。
SecHack365は、未だ残るセキュリティの社会的な課題を分析研究し、それらを解消するアイデアを出す力と、解決策を実装する力を持った「セキュリティイノベーター」の育成を目的にしたものです。
そのために、「セキュリティオペレーター」の育成を目的とした実践的サイバー防御演習「CYDER」のような固定的なカリキュラムとは違い、自由度が高いプログラムになっていることが伝えられました。
「1年間の経験を社会全体のために積極的に活用してほしい」と、盛合所長。さらにはトレーニー自身が成長するだけでなく、周囲にも成果が波及することを期待していると続け、最後に「自分の枠を突き破れ!」とトレーニーたちにエールを送りました。
「完璧である必要はない」
続いて登壇した横山トレーナーは、開口一番そう断言します。「SecHack 365のすごしかた!!!」をテーマに、来年3月に行われる成果発表会までの「長いようで短い」期間をどのように過ごして欲しいのかを語りました。
横山トレーナーが冒頭の言葉を訴える理由は、完璧さを求めてハードルを上げた結果、自分自身を苦しめた経験があるからだと話します。SecHack 365では、学習と開発、発表を相互に何度も繰り返して進めていきます。そうしたなか、完璧でないと次のフェーズに進むことができない姿勢では、歩みがそこで止まってしまう――そうではなく、まず何かを開発してみて、そこから学習し直したり、発表したりすることで、新たな気づきが生まれ、課題解決への一歩を進めることができるのです。
- 注1
- SecHack365は、NICTが主催するサイバーセキュリティーの人材育成プログラムのひとつで、2021年9月28日に閣議決定された「サイバーセキュリティ戦略(外部サイト PDF:1.2 MB)」や総務省の令和4年版「情報通信白書(外部サイト)」にも明記されている。
02自己紹介もブラッシュアップ
自己紹介は、トレーニーが4名ずつになるようにAからJの10個のブレイクアウトルームに分かれて行われました。30分ずつ、メンバーを入れ替えて4回繰り返します。自己紹介では、それぞれが自作スライドを使いながら、自分の趣味やこの1年を通してどのようなものを作りたいかを披露。中には、自分が作ったアプリやサービスを紹介するトレーニーもいて、それぞれがオリジナリティ溢れる発表となっていました。
Fルームでの3回目の自己紹介に集められたトレーニーは、所属コースも年齢もバラバラです。今後の抱負についても、「CPUを自作したい」という人から「アプリを作りたい」という人まで、コンピュータアーキテクチャのさまざまな階層が揃っています。コースごとではなく、あえて混合形式としているのは、SecHack365を通して接点が少なくなりがちな他コースのトレーニーとも交流することで、自分が知らない分野に対する理解を深め、新たな気づきを得ることもできるようにするためです。このルームでは、チャットツールを使って、今後も自由に意見交換ができるようにするとのことでした。
相手を変えた計4回の自己紹介を通して、トレーニーたちはどのようなことを考えたのでしょうか。
イベント終了後のアンケートでは、1回目、2回目……と回を重ねるたび、前回の他のトレーニーの反応や質問を受けて説明する内容や時間配分を変えたという人が多くいました(なかには、わかりやすくスライドを手直しした、という人も)。その一方では、後半疲れて雑になってしまったという正直な人も。確かに、4回の自己紹介を繰り返すのは大変です。しかし、イベントはまだまだ続きます。
03各トレーナーの魅力も伺えた「囲む会」
続くトレーナーを囲む会では、トレーナーがAからDの4つのルームを作って興味のあるルームにトレーニーたちが参加するという形式で、前半と後半に分けて30分×2サイクル実施されました。
トレーナー | 内容 |
---|---|
猪俣 | 暗号と仲良くなろう。古典暗号から現代暗号、そして未来を見据えた暗号について話したいと思います |
今岡 | ポジのイテレーションを回そう(着想・実装・表現・共有・フィードバック) |
柏崎 | 僕の話はどうでもいい!! みんなのお悩み相談室 |
花田 | キャリアとコミュニティと人生のHack |
その他囲む会参加トレーナーは、笠間・神薗・服部、坂井、仲山、佐藤トレーナー
花田トレーナーは、「キャリアとコミュニティーと人生のHack」というテーマで、自分の人生を振り返ります。自らが主催する「ばりかた勉強会」を中心にコミュニティの運営運営について語りました。
質問コーナーでは、自らもコミュニティを運営するトレーニーから、運営する上で大切にしているマインドは何か問われ、花田トレーナーは「情熱や使命感はもちろん、当事者意識を持つこと」と語っていました。
笠間トレーナー、神薗トレーナー、服部トレーナーの3名で作られたルームでは、テーマを決めず、トレーニーの質問アンケートに答えるという形式でトークが始まりました。最初は軽い質問で始まったものの、次第に内容は深い話へ……。
「いったい何が社会に求められているのか」
神薗トレーナーは、「それを知るには、法律や国際情勢など社会のシステムを理解する必要がある」と答えます。そして、論文という形でなく、社会実装をすることで、売り上げなど数値化されたフィードバックを受けることができ、そこから社会の評価やニーズを把握し、その後の研究に生かしていくことができるのだと語ります。
基礎知識と基礎姿勢を学ぶ「講義」
自己紹介3回目と4回目に挟まれて、北條トレーナー、佳山トレーナーによる2つの講義が行われました。
北條トレーナーの講義テーマは、「法律と倫理」です。
セキュリティイノベーターを目指して活動するトレーニーたちが実際にそのような仕事に就いた場合、彼らはさまざまなサイバー犯罪と対峙することになる一方、研究・開発を進めていく上で、悪意なく犯罪に手を染めてしまうことも考えられる――と北條トレーナーは指摘します。例えば、最近話題のChatGPTなど対話型AIを使用した場合、出力されたデータの内容によっては、意図せず誰かの著作権を侵害してしまう可能性も考えられるなど、法律の見地からのセキュリティ問題を解説してくれました。なお、SecHack365での研究・開発においても、「これは法律的に大丈夫なのか」と引っ掛かりを覚えることもあるかもしれないが、その場合は、北條トレーナーが相談に乗ってくれるとのことでした。
「知識」を扱った北條トレーナーの講義から一転、佳山トレーナーは「習慣化」をテーマに講義を行いました。
佳山トレーナーによると、人間は高い目標を掲げるほど、先延ばしにしたいという感情が生まれてしまうといいます。それを克服するには、「頑張らないを頑張る」こと。つまり、毎日チャットツールを開く、ラジオ体操をする、気になったことをメモするといった小さなことを習慣化する必要があるとのことでした。
これらの小さな目標を整理し、思考を深めるのが「マンダラート」(目標達成表)であると、佳山トレーナーは力説します。「続かないを続けられる」ようにするため、早速マンダラートを作り始めるトレーニーたちなのでした。
04「この機会に言っておきたい」があふれたLT
続いて行われたのが、3分という短い時間の中で自分が伝えたいことを発表するライトニングトーク(LT)です。事前に申請のあった3名のトレーニーに加えて、当日その場での呼びかけに応じて、さらに2名が飛び入り参加し、大いに盛り上がりました。なお、チャットツールでは各LTをタグ付けし、発表に対して適宜コメントできるようにすることで、さらに発展性を持たせる工夫も加えられていました。
(開発駆動コース ・ 仲山ゼミ)
SecHack365を通してFlutter注2に関する研究・開発をしようと考えているトレーニーのレウェティ 要さんは、「Flutterのすゝめ」というテーマで発表しました。他のトレーニーたちにもFlutterを知ってもらいたいと意気込んで参加した甲斐もあり、イベント後のアンケートでも、「Flutter、面白そう」などと言及した人が何名もいました。
(開発駆動コース ・ コンテンツゼミ)
(学習駆動コース ・ 坂井ゼミ)
(学習駆動コース ・ 坂井ゼミ)
(表現駆動コース)
3分間という短い時間の中で分かりやすく伝える難しさを感じる人が多かった一方、第1回イベントにも関わらず、積極的に発表してくれたトレーニーたちを見て刺激を受けた人も多かった様子。次の機会にはさらに多くの人の登壇が期待できそうです。
- 注2
- 1つのコードベースからモバイル(iOS、Android)、ウェブ、ディスクトップ(Windows、MacOS)などのアプリケーションを作成できるGoogleの UI ツールキット。
05興奮さめやらぬ「放課後」
一通りのプログラムが終了した後、第1回イベントの最後の締めくくりとして、oVice注3を用いてトレーニー、トレーナー、アシスタント全員による、いわば「放課後の延長戦」といった体の交流が行われました。
oViceは、アバターを動かすことで、自分がどこにいて、何をしているのか、視覚的に相手に伝えることができる仕組みです。今回は、自分のアバターを動かし、最初は住んでいる地域ごとに、次は年代ごとに集まって会話を楽しみました。
単に交流促進というだけでなく、oViceそれ自体の実証も兼ねたこの放課後イベント。次世代型の交流を体験した一方で、操作が直感的で無くアフォーダンスが良くないという、若干厳しい意見もありました。
次回、第2回イベントは、7月14日(金)から16日(日)の3日間にかけて、今度はオフラインで開催されます。
コロナ禍ではオンラインを中心に組み立てられていたイベントも、今期はポストコロナを見据え、オフラインでの交流を主軸にし、オンラインは補助的に使用していく予定です。次回までの1ヶ月間、トレーニーたちは、チャットツールやコースワークでの交流を通じて、さらなる開発を進めていくことになります。
果たしてどのような回となるのか、期待は膨らみます。
- 注3
- バーチャル空間(メタバース)でアバターを交流させることができるサービスで、コロナ禍のリモートワーク期間中に社員のコミュニケーションツールとして注目された。
トレーニーの感想
他のトレーニーと交流したり、作品についてトレーナーの方々からフィードバックを頂けて非常に楽しかったです。
他のトレーニーと交流したり、作品についてトレーナーの方々からフィードバックを頂けて非常に楽しかったです。
トレーニー同士の交流会だけではなく講義などもあり、有意義な1日を過ごせました。厳格な雰囲気で行われると思って緊張していたので、温かく明るい雰囲気で迎え入れてくださって嬉しかったです。イベント全体を通して楽しめました。
トレーニー同士の交流会だけではなく講義などもあり、有意義な1日を過ごせました。厳格な雰囲気で行われると思って緊張していたので、温かく明るい雰囲気で迎え入れてくださって嬉しかったです。イベント全体を通して楽しめました。
他の参加者と交流することで、様々な知見を得ることができました。また、自分自身を相手に伝える数少ない貴重な機会でした。他の参加者からの学びや自分自身をより知ることができたのはもちろんですが、倫理の話や習慣化の話を聞くことができ、人間としても一歩成長するためへのいい機会を与えて頂いたと思います。今回得た学びを今後も活かしていきたいと思います。
他の参加者と交流することで、様々な知見を得ることができました。また、自分自身を相手に伝える数少ない貴重な機会でした。他の参加者からの学びや自分自身をより知ることができたのはもちろんですが、倫理の話や習慣化の話を聞くことができ、人間としても一歩成長するためへのいい機会を与えて頂いたと思います。今回得た学びを今後も活かしていきたいと思います。
アシスタントの感想
(2022年度修了生)
今年度のSecHck365が始まりました! 第1回イベントデイは1日のみの開催でしたが、とても密度の高い1日になったのではないでしょうか。自己紹介では初対面にも関わらず自分のことや取り組みたいことをしっかりと伝えていたトレーニーの姿が印象的でした。そういった姿を見ていて、「今年のSecHck365も面白くなりそうだ...」と思わずニヤニヤしてしまいました。
1年間の中で、それぞれのトレーニーや活動の魅力がさらに見えてくることをとても楽しみにしています。一緒にこの1年間を楽しんでいきましょう!トレーニー全員が最大限SecHck365を楽しめるように、全力でサポートしていきます!
今年度のSecHck365が始まりました! 第1回イベントデイは1日のみの開催でしたが、とても密度の高い1日になったのではないでしょうか。自己紹介では初対面にも関わらず自分のことや取り組みたいことをしっかりと伝えていたトレーニーの姿が印象的でした。そういった姿を見ていて、「今年のSecHck365も面白くなりそうだ...」と思わずニヤニヤしてしまいました。
1年間の中で、それぞれのトレーニーや活動の魅力がさらに見えてくることをとても楽しみにしています。一緒にこの1年間を楽しんでいきましょう!トレーニー全員が最大限SecHck365を楽しめるように、全力でサポートしていきます!
(2020年度修了生)
第1回イベント、お疲れ様でした!
今回は自己紹介や交流がメインで、トレーニーやトレーナー、アシスタントのことを知ることができたと思います。チャットでは個人のトピック(チャンネルようなもの)が続々と作成され、非常に活発的でした。SecHack365には様々な人が参加しており、普段は関わることがないような領域の人同士が交流できる良い機会だと私は思っています。トレーニー同士の交流が刺激となって、良い成果物が出来上がるのではないかと非常に楽しみです。
これから1年間アシスタントとしてサポートしていきますので、一緒に頑張っていきましょう!
第1回イベント、お疲れ様でした!
今回は自己紹介や交流がメインで、トレーニーやトレーナー、アシスタントのことを知ることができたと思います。チャットでは個人のトピック(チャンネルようなもの)が続々と作成され、非常に活発的でした。SecHack365には様々な人が参加しており、普段は関わることがないような領域の人同士が交流できる良い機会だと私は思っています。トレーニー同士の交流が刺激となって、良い成果物が出来上がるのではないかと非常に楽しみです。
これから1年間アシスタントとしてサポートしていきますので、一緒に頑張っていきましょう!
(2022年度修了生)
第1回イベント、お疲れ様でした。
今回のイベントは主に自己紹介や交流が行われました。最初は緊張した様子もありましたが、回数を重ねるごとに質問やコメントが増え刺激的な時間を過ごせたのではないかと思います。
SecHack365では第一線で活躍されるトレーナーや様々なバックグラウンドを持つトレーニーと議論や交流ができます。トレーニーのみなさんには、この環境を思う存分活用していただければと思います。 普段の生活に加えてイベントデイやコースワークなどが行われるため忙しい1年間になると思いますが、良い作品を作れるよう一緒に頑張っていきましょう!
第1回イベント、お疲れ様でした。
今回のイベントは主に自己紹介や交流が行われました。最初は緊張した様子もありましたが、回数を重ねるごとに質問やコメントが増え刺激的な時間を過ごせたのではないかと思います。
SecHack365では第一線で活躍されるトレーナーや様々なバックグラウンドを持つトレーニーと議論や交流ができます。トレーニーのみなさんには、この環境を思う存分活用していただければと思います。 普段の生活に加えてイベントデイやコースワークなどが行われるため忙しい1年間になると思いますが、良い作品を作れるよう一緒に頑張っていきましょう!
(2022年度修了生)
第1回イベントデイお疲れ様でした!
今回のイベントデイでは自己紹介や講義、LTなどを行いました。自己紹介をしながら質問やコメントをそれぞれ行っており、最初は緊張している様子だったものの回を重ねるごとにリラックスしてお話ができていた印象でした。
今回のイベントデイで特に感じた部分かもしれませんが、SecHackにはいろいろな人がいて背景ややってきたこともそれぞれ違うので、是非今後もいろいろな人と交流をして素敵な1年間を過ごしてほしいと思います。他の人と自分を比較し過ぎないで、自分の好奇心に素直になって、そしてやりたいことに熱中できる1年間になるよう全力でサポートします!
第1回イベントデイお疲れ様でした!
今回のイベントデイでは自己紹介や講義、LTなどを行いました。自己紹介をしながら質問やコメントをそれぞれ行っており、最初は緊張している様子だったものの回を重ねるごとにリラックスしてお話ができていた印象でした。
今回のイベントデイで特に感じた部分かもしれませんが、SecHackにはいろいろな人がいて背景ややってきたこともそれぞれ違うので、是非今後もいろいろな人と交流をして素敵な1年間を過ごしてほしいと思います。他の人と自分を比較し過ぎないで、自分の好奇心に素直になって、そしてやりたいことに熱中できる1年間になるよう全力でサポートします!
(2022年度修了生)
第1回イベントお疲れさまでした! 第1回イベントは2023年度SecHack365が始動してすぐの開催となりました。トレーニーからSecHack365での制作活動としてどのようなことがしたいのかを共有していただきましたが、今年も多様で興味深いテーマが集まっていたので話を聞いていてとても楽しかったです。SecHack365での最終的なアウトプットがどのようなものになるのか、これからとても楽しみです。学業や仕事との両立はとても大変かと思いますが、1年間一緒に頑張っていきましょう!
第1回イベントお疲れさまでした! 第1回イベントは2023年度SecHack365が始動してすぐの開催となりました。トレーニーからSecHack365での制作活動としてどのようなことがしたいのかを共有していただきましたが、今年も多様で興味深いテーマが集まっていたので話を聞いていてとても楽しかったです。SecHack365での最終的なアウトプットがどのようなものになるのか、これからとても楽しみです。学業や仕事との両立はとても大変かと思いますが、1年間一緒に頑張っていきましょう!
どんな仲間とこの1年間を過ごしていくのか、トレーニーたちの交流を中心に第1回イベントの様子をレポートしていきます。