SecHack365 2026 / Report 2nd Event WeekReport 2ndEvent Week

第2回イベント(2026年7月24〜26日)

Keypointsof this event

  • # 初めての展示に挑み、「作って、見せる」の第一歩を実践
  • # 興味や関心を同じくするトレーニーやトレーナーの人となりを知り、仲間を増やす
  • # 社会やIT技術の変化を背景に、社会実装を意識してカリキュラムも進化

「作って、見せる」の第一歩、初展示から得られた有益なフィードバック

リアルに集い、それぞれの作品やアイデアを初披露

SecHack365は、一年かけて「作って、見せる」を反復し、トレーニーそれぞれのアイデアを形にしていく取り組みです。普段はコースごとに定期的にオンラインゼミを行い、コツコツと作品作りを進めていきますが、そこに想像もしていなかった「出会い」や「ひらめき」をもたらすのが「オフラインイベント」です。

7月24日から26日にかけて都下で行われた、2026年度SecHack365の第二回オフラインイベントは、トレーニーそれぞれの作品やアイデアを「初披露」する場と位置付けられました。同時に、トレーニーやアシスタント、トレーナーが初めてリアルに集う場でもあり、二泊三日の濃密なコミュニケーションを通して互いの親交を深めていきました。

トレーナーやアシスタントにも背中を押され、緊張の初展示に挑戦

第二回オフラインイベントのメインディッシュは、2日目に行われた展示です。会場にブースを用意し、一人当たり50分という時間内で、「自分は何を実現しようとしているのか」「それがどこまで形になっており、どんな壁にぶつかっているのか」といった事柄をプレゼンテーションします。また、自分の展示以外の時間は、逆に見学者となって他のトレーニーのブースを訪問し、気になることを率直に質問したり、フィードバックしていきます。

横山輝明トレーナーは冒頭に「今回は、自分の好きなことや作ったことを見せ、見ていく場です。これを一度経験すれば、『もっとこうすればいいんじゃないか』といったさまざまなアイデアやフィードバックが得られます」と述べ、まずはこのサイクルを楽しみながら経験してほしいと呼び掛けました。

2026年度のSecHack365がスタートしてから2ヶ月ほどの間、トレーニーは目標に向けて少しずつ作品作りを進めてきました。ただ「人に見せる」となると、やはり入念な準備が必要です。そこで、1日目は集合後すぐにコースワークに入り、翌日に向けた「作戦会議」をトレーナーと行っていきました。

話し合いの輪の中からは「明日の準備がまだあまりできていないな……」という弱気な声が漏れ聞こえてくることもありました。これに対しトレーナーたちは、「目線を相手に合わせつつ、とにかく楽しくやっていきましょう」「どこがすごいのかをうまく伝えられるよう、もうちょっとだけ考えてみましょう」とポジティブに背中を押していました。

さらに、自らも展示やプレゼンテーションを行った経験を持つアシスタントたちが、資料やホワイトボードの準備、そしてリハーサルなどさまざまな面でサポートすることで、しっかりと展示のスタートを切ることができました。

蓋を開ければ大盛況、活発な意見交換の輪が広がった展示

展示には、今年度もバラエティ豊かな作品のタネが並び、「論文も書いてみたら」というエールも含め、さまざまな反応が飛び交いました。

例えば学習駆動コース今岡ゼミの矢田吏さんは、常に飛行状態にあるのではなく、アームで電柱や木に掴まることで電力消費を抑え、重要インフラや群衆警備を支援する「把持機構により飛行電力消費を最小化して運用する防犯ドローン」というアイデアを紹介し、「防犯カメラとはどう違うのか、特徴は何か」「アームがかえって飛行の妨げになって電力消費が変わらないのではないか」といった具体的なフィードバックをもらっていました。

「学び」や「多様性」「創造性」といった本質的な概念をテーマにした発表がある一方で、チーム開発時のシークレット(機密情報)の共有を安全に行うツールやAIが生成したコードの信頼性を確認する仕組み、セキュアなゲームエンジン開発や安全なライブ配信基盤、ネットワークプロトコルスタックの自作、シェルの自作といったテクニカルなテーマに至るまで、とても一言ではまとめきれない幅広さです。

融合駆動コースの関口撫子さんは「難しいセキュリティの話を誰にでもわかるようにしたい」と、技術文章を漫画に変換するツール「MangaDown」を紹介し、また研究駆動コースの古川耕太郎さんは、人の身体データをフグの人形の膨らみで示すことで、どのように受け止め方が変わってくるかをデモとともに紹介し、見学者の足を止めていました。

融合駆動コースの大川貴久さんは、文化人類学的な手法を用いて、OSSに携わった本人の記録を「OSSの生活史」として記録し、公開したいと考えているそうです。早速、大神祐真トレーナーへのインタビューを行っていたほか、このプロジェクトに興味を持った別のトレーニーが「僕も興味あります」「じゃ、Discordに入ってもらえませんか?」とコラボレーションを持ちかける一幕もありました。

クラウドサービスのリスクをうまく可視化したいという問題意識を示した研究駆動コースの益川莉空さんの展示には、トレーナーはもちろん、見学者として訪れていた現役セキュリティエンジニアも足を止め、「LLMの使い所はこれが最適なのか」「多すぎる脆弱性の中から優先すべきものをどう決めていくべきか」と、ガチの議論を交わしていました。

また、表現駆動コースでは、フェーズごとに2つのチームを作り、リーダー的な役割を果たす「ハスラー」などの役割分担を決めてその都度サービスを作り上げていきます。今回はその成果として、睡眠記録や睡眠学習によって眠ることを楽しくするアプリ「ねるわ」や、「SNSでこんな投稿をすると炎上の可能性がこのくらいある」というリスクを可視化し、拡散スピードを示す炎上シミュレーター「モエシミュ」が展示されました。

ブースに足を止めた他のコースのトレーニーは、一つのテーマを追求するのではなく、毎回異なるテーマに取り組む表現駆動コースのアプローチに「こういうやり方もあるんだなぁ」と驚きを感じていたようでした。

トレーナーの意外な姿や熱い思いに触れる機会も

第二回オフラインイベントのもう一つの特徴が、「トレーナーを囲む会」や「縁日」「トレーナー展示」といった時間を通して、トレーナー自身の興味や関心、人となりを知り、コミュニケーションを取る時間がふんだんに設けられていたことです。

今回新たにトレーナーとなった内田公太トレーナーは、中学生の頃、当時川合秀実トレーナーが中心になって開発したOS「OSASK」をきっかけにOS自作に興味を持ったそうです。興味が高じて「OSの作り方を教えてください」とチャットを送ったことがきっかけで「OS自作入門」のレビューに参加し、ついには「ゼロからのOS自作入門」を執筆するに至るまでの経緯をトレーニーたちに伝えていました。「国産OSってすごい」という思いからスタートしてコミュニティに参加し、受験などで回り道もありながら再び自作OS界隈に戻ってくるまでのストーリーに、トレーニーたちは真剣に聞き入っていました。

また大神祐真トレーナーは、セキュリティキャンプ2026コネクトで生まれた、セキュリティ学習用のボードゲーム「人生ゲームOS」の体験会を行ったほか、セガサターンのCDシステムやタイル描画についての解説などを行いました。「バイナリアンとして、CPUと直接話したい」という情熱を持つ大神トレーナーのプレゼンは、リアルタイムでセガサターンを知らないトレーニーだけでなく、当時を知るトレーナーにも大人気となっていました。

AIネイティブ世代のトレーニーたちは、おそらくトレーナー世代よりも上手にAIを使いこなすことができるでしょう。久保田達也トレーナーはそんな彼らをさらに加速させるべく、「アイデアカード発想法」を活用した、AIの正しい使い方のヒントを与えていました。自分たちの仮説やアイデアをAIにぶつけ、相談し、軌道修正しながら進めていくことで、大きな効果が得られるという久保田トレーナーの言葉に、トレーニーたちは大きく頷いていました。

柏崎礼生トレーナーは全体講義の場で、かつて自身が経験した「夏の怪談」を紹介しました。ある日柏崎トレーナーは、GitHubの公開リポジトリに、AWSのアクセスキーやシークレットキーが含まれたコードをうっかりプッシュしてしまいました。すると即座に悪用されて何者かにインスタンスを大量に作られてしまい、なんと620万円に及ぶ請求が来てしまった――という恐ろしいインシデントです。

この一件を通して柏崎トレーナーが痛感したのは、IAMの重要さや攻撃側の抜け目のなさもさることながら、「他者」の存在のありがたさだったそうです。当時の婚約者の冷静な言葉によって正常性バイアスから解放され、自分の落ち度を認めつつ、請求の取り下げにつなげることができたといいます。

後日、柏崎トレーナーはこの顛末をXでつぶやきました。すると今度は、同じような状況に陥り困っていた人からの相談を受け、解決につなげることができました。その人はさらに、問題の解決後に一連の顛末を記事化して公開した――という具合に、誤りを認め、学びを共有するつながりが生まれていったのです。

「間違ったことをやってしまったとき、過度に叩いてしまうと、その先には間違ったことをしたことを隠してしまう世界がやってくるでしょう。それよりも、知見をみんなと共有していきたいと思います」と柏崎トレーナーは語り、一連の経験を通して、あらためて、それぞれ異なる価値観を持つ他者の存在の尊さを訴えました。

こんな風にトレーナーたちのいろいろな側面を知れたこともあり、3日目に行われた「トレーナーとの相談会」では、じっくり腰を据えての相談が行われました。

藤田さんが修了生講演で振り返っていた通り、一対一で、他者とじっくり話し合うことで得られるものは少なくありません。この時間では、作品作りはもちろん、その前提となる自分自身のものの考え方について腹を割って対話を行いました。

全日の展示で得られたフィードバックは、自分が想定した好意的なものばかりとは限りません。展示を通して各トレーニーは、予想もしないものや、ちょっとネガティブに思えるものも含め、さまざまな声を受け取りました。

トレーナーとの相談会ではそれらを踏まえ、対話を通して方針を再確認したり、次の課題を明確にしていったようです。「相談することで、自分のアイデアの勘所は合っていると答え合わせができて良かったです」と述べるトレーニーもいました。また融合駆動コースの市川彪雅さんは、自分が目指すキャリアモデルに近いという北條孝佳トレーナーと、作品に関する相談に留まらず、この先の進路についても「15分間では足りない」と熱心に話し込んでいました。

講義や講演を通して得られる、これからの生き方のヒント

過去のレポートでも紹介されているとおり、オフラインイベントでは、ものを作って見せるのに必須の態度や癖を身に付ける役に立つさまざまな講義が行われます。

例えば、佳山こうせつトレーナーの「習慣化」講義では、「もっとこうしておけばよかった」と後悔することがないよう、限られた時間を生かし、ゴールに向けて少しずつ進んでいくための実践的な考え方や手法を紹介し、「頑張らなくても頑張れる」体質作りを進めていきます。手段の一つとして、大谷翔平選手も使っていた「マンダラート」を用い、目標を日々実践できる単位に細分化・具体化し進めていくことも推奨し、実践したトレーニーをオフラインイベントの場で表彰しています。

また、残念ながら、スキルを持つ若者が、他人名義のクレジットカードの不正使用、文書偽造など複数の犯罪で逮捕される事件が発生しました。ダークサイドに陥ることのないよう、現役の弁護士である北條トレーナーが技術を適切に使うための心構えやルールを示す「法律と倫理」の講義を行い、この事件をはじめ、トレーニーと同世代の若者による犯罪の実例を交えながら、「どんな行為が法に触れるのか」を解説しました。

他に、皆が集まる場ということで、アシスタントが企画した「名刺交換会」や「ライトニングトーク大会」、二泊三日の合間を縫ってお題に応える「ナイトチャレンジ」も行われ、興味や意外な共通点を持つ仲間が生まれます。夜の9時に公式のプログラムが終わった後の放課後タイムには、トレーニーとアシスタントが三々五々集いながら充実した時間を過ごしていました。

加えて、さまざまな先輩の歩みを若いうちに知るのは有益なことです。話を聞いたその時はピンとこなくても、後に悩んだときに「ああ、そうだったのか」と思えることもあるでしょう。オフラインイベントでは、そんな風にトレーニーの視野を広げる講演が複数用意されるのが恒例です。

今回はまず、株式会社KDDI総合研究所 セキュリティ部門長、磯原隆将氏による講演が行われました。

「私たちは、次の100年を作るための研究開発という意気込みで、日々研究に取り組んでいます」と磯原氏は言います。

特にセキュリティの側面では、この先AIや量子計算機といった技術が進展しても安心と信頼を継続的に提供できるよう、新たな暗号技術「Rocca」や画像を利用したログイン認証技術「kCAPTCHA」などの開発にはじまり、AIセキュリティや、人を理解した上で対策を取ることで人の弱さに起因するセキュリティ課題の解決を図る「ユーザブルセキュリティ」といったテーマを研究していることを紹介しました。こうした成果は論文として発表するほか、特許を取得したり、国際標準化といった活動を通して社会へ広げています。

そんな磯原氏ですが、最初からセキュリティの研究者を志していたわけではありません。たまたまパソコンに触れてコンピュータを好きになり、縁あってちょうど発展期にあったセキュリティ分野に足を踏み入れる――という具合に、その時その時の関心事を追求してきたといいます。時には締め切りに追われ苦しい時期もあったそうですが、「皆さんも好きなこと、何かピンとくるものがあれば夢中になり、続けてみることが役に立つと思っています」とトレーニーにエールを送りました。

大学院への進学や研究を志すトレーニーも多いことから、皆が真剣に磯原氏の話に聴き入り、「研究から実務への応用をどのようにつなげていくのか」など質疑応答も活発に行われていました。

修了生の講演

修了生講演には二人のOBが登場しました。

二ノ方 理仁さん(2017年度 修了生)

二ノ方 理仁さん(2017年度 修了生)

わずか10歳、小学5年生の時に第一回のSecHack365に参加し、「もし二回目の参加ができるならばもう一回応募したい」という二ノ方理仁さんは、現在は東京都立産業技術高等専門学校で学んでいます。「SecHack365に参加し、研究の基礎や発表の仕方、そしてアウトプット主義という三つのことを学びました」と振り返りました。

現に二ノ方さんは情報処理学会の中高生ポスターセッションで継続的に発表を行ってきたほか、「情報科学の達人」をはじめとする複数のプロジェクトに採択されるなど、学んでアウトプットする取り組みを継続しています。また、SecHack365でネットワーク技術に興味を抱き、今では個人でAS番号を取得し、運用しているそうです。そんな幅広い活動を紹介し、「SecHack365を修了することにはこれだけの価値があり、信用を得られます。そして、その後の選択肢や景色が広がります」と参加の意義を述べていました。

トレーニー時代の作品を見る

藤田 優貴さん(2018年度 修了生 / 思索駆動コース)

藤田 優貴さん(2018年度 修了生 / 思索駆動コース)

藤田優貴さんは2018年に北海道から参加し、全国各地で行われたイベント会を経験しながら、マイナンバーカードを利用した認証システムを作り上げました。家族の影響もあってパソコン少年として育ち、札幌で開催されたオープンソースカンファレンスを機に、コミュニティの存在を知って人のネットワークを広げていった藤田さんですが、大学院の後輩からSecHack365の存在を知り、思索駆動コースに参加しました。

「記憶に残っているのは、思索駆動コースでの1 on 1のインタビューです。思っていることをぶつけ合い、それに対する感想を述べ、また別のメンバーと意見をぶつけ合うことを重ねていくうちに、自分が本当にやりたかったことを明確化できました」(藤田さん)

この思索を深めるプロセスを通して、「地方でのIT振興」という問題意識をあらためて強く感じた藤田さんは、現在、脆弱性管理ツールの開発に携わる傍ら、北海道情報セキュリティ勉強会(せきゅぽろ)でも活動しています。なお修了生仲間の中には、セキュリティど真ん中の仕事に携わっている人もいれば、全く違う道を選んだ人もおり、それぞれの場で活躍しているそうです。

「思索を重ねながら最初の思いを貫く人もいれば、ぼんやりしていたものが次第にはっきりしてくる人もいるでしょう。この一年を通じて生まれる縦横のつながりを楽しみながら駆け抜けてもらえればと思います」と藤田さんは呼び掛けました。

トレーニー時代の作品を見る

「楽しかった」だけで終わらせない、次のイベントに向けた振り返り

このように第二回オフラインイベントでは、夜遅くまでナイトチャレンジに取り組んだり、コースをまたいで共通の関心を持つ友人を見つけたりと、楽しく充実した三日間を過ごしました。最後にはやや体力が尽きたトレーニーもいたほどです。

ですが、単に「楽しかったな」だけで終わってはSecHack365ではありません。展示を通して何が得られたか、どんな課題が浮上したかを整理し、9月に行われる第三回オフラインイベントに反映していくことが大切です。そんな観点から展示後には再びコースワークが行われたほか、最終日には、アシスタントと対話しながらの次回に向けての作戦会議が行われました。

「失敗をいかに人工的にコントロールできるかが大切です。見せるという経験を通してどう思ったかを振り返り、今後もこれを繰り返し、自分に色を付けていきましょう」(横山トレーナー)

社会からの期待に応えて続く、SecHack365カリキュラムの進化

修了生の二ノ方さんは講演の中で、「SecHack365のプログラムは毎年進化しています」と語っていました。

SecHack365には、「縁日」など一年目から変わらず続いているプログラムがある一方で、コースの開設・変更があったり、オフラインイベントのプログラムに改善が加えられています。

「トレーナーの方々が毎年、SecHack365をより良いものにしようと改革して来たのだと思います」(二ノ方さん)

事実、例えば昨年からは、関係者だけでなく外部の専門家を招いてトレーニーの作品を見てもらい、より広い視点から意見が得られるようになりました。また今年はコースを再編し、新たに「世界観駆動」「融合駆動」というコースを設けたほか、新たなトレーナーも招きました。

背景には、IT技術の変化・進化へ適応するとともに、SecHack365に寄せられる社会からの期待にいかに応えるか、という思いがあると横山トレーナーは言います。

SecHack365は10年間の継続を通して、多くのトレーニーを送り出してきました。手を動かして何かを作り、見せ、レビューを受けてより良くしていく――この「作って、見せる」という反復サイクルの効果は、どのトレーナーも共通して感じているといいます。加えて、この反復を重ねることで、SecHack365の修了後も、それぞれの環境で活動を継続できるような「癖」が身に付き、貴重な人的ネットワークも生まれています。

一方で、社会やIT技術は目覚ましい勢いで変化しています。この10年を振り返るだけでも、AI技術が想像もできないスピードで進化し、さまざまな努力にもかかわらずサイバー攻撃はますます猛威を振るうようになりました。そこで

「AIをはじめとする新たなジャンルが登場し、関心の幅も広がっている状況に応えるべく、新たなトレーナーをお迎えし、コースも再編しました」(横山トレーナー)

SecHack365には、さまざまなセキュリティ上の課題に取り組み、解決していける人材を育成し、ひいては、海外製の技術に頼りがちなIT・セキュリティ業界の現状を変え、技術の自給自足に寄与していくことが期待されています。

10年間の積み重ねを通して、問題に直面しても自分の手で解決していける能力を持つ人材が生まれ、作品を通して興味深い取り組みが生まれてきました。一方で「では、それをどのように社会実装し、世の中の役に立てていくのか」という新たな課題が、SecHack365の次の10年に突きつけられているといいます。

新たな2つのコースは、そんな社会的要請の変化や拡大を意識したものでもあります。

「これまでの各コースは、どちらかといえば作る側の思いにフォーカスしてきました。これに対し新たな二つのコースは、社会課題をどう解決し、どう使ってもらいたいかといった目的思考、使う側の思いから生まれています」(横山トレーナー)

融合駆動には、手段と目的を掛け合わせ、ユニークな課題に目を付けて取り組もうという狙いが込められています。また、世界観駆動では文字通り「どのような未来や世界を作りたいか」というビジョンを提示し、その手段としてもの作りに取り組んでいきます。こうしたアプローチは今の世代の若者にもマッチし、非常に多くの応募がありました。

SecHack365でのモノづくりは、「自分が好きだからこれを作りたい」を起点にして後から生かしどころを考えるアプローチと、「この問題を解決したい」という目的から入って手段を模索するアプローチの二つに大きくわけられます。横山トレーナーは「トンネルを手前から掘るか、向こう側から掘るかの違いでしかなく、最終的には高度なレベルで両立を目指すべきものだと考えています」と言います。

「作って、見せる」というプロセスで成果を生み出してきたSecHack365ですが、次の10年では、それをいかに社会に定着させるかも意識し、「作って、見せて、世の役に立てる」というプロセスの理想的なミニチュアを模索していきます。

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