コース概要Course
SecHack365のコースについて
SecHack365ではセキュリティイノベーターを創出するための手段として、モノづくりに関するアプローチが異なる5つのコースを用意しています。
受講生は自分の志望や特性に合わせて研究・開発等を進めることができます。
表現駆動コース
コース紹介
どのようなコースですか? 1年間でどのようなことをやりますか?
表現駆動コースは、皆さん自身で創造力を発揮し、イノベーションを興すことにより、未来を切り開くためのコースです。
頭の中、創造の世界のアイデアをリアルワールドに取り出すことは、イノベーターにとって重要です。イノベーターとして技術、文化など、その領域を広げるためには、イノベーションの価値を最大化しなくてはなりません。表現駆動コースでは、イノベーションのためのメソッドを考え、実践します。何が世界に重要で解くべき課題なのか?まずは、ここから一緒に考えましょう。
育成過程
どのようにセキュリティの知識や意識を身につけますか? 何を目標としますか?
いやぁ、、これを説明するのはなかなか難しいですね。上手く説明できるかわかりませんが、頑張ってみたいと思います。表現駆動コースでは、グループによって、イノベーション実現を目指します。3名以上のグループでの活動が原則必須です。まずは、それぞれ異なるグループメンバー、異なるテーマで、オン・オフラインを通して、ハッカソンを行います。これらのハッカソンを通して、アイデア発想と、その具現化のための開発を複数回行い、イノベーションのメソッドを学んでいきます。複数回のハッカソンの後、その時点までに創出されたアイデアを継続的に、より大きく発展させるグループを編成し、発表会までの最終的なイノベーション創出を目指します。
本コースでは、イノベーション創出を最終目標とします。そのため、最終発表までにβバージョン以上のサービスを世界に向けて公開し、社会からのフィードバックを得て、機能拡張を行うことを必須とします。
イノベーションの創出にあたり、迷うこともあるでしょう。そういった場合は、これまでの修了生が、メンターとしてみなさんをサポートする予定です。特定の分野での専門的な知見が必要になることもあるでしょう。そんな時は、私たちトレーナーがみなさんをサポートします。
どんな人に
おすすめしますか?
どのような方の応募を歓迎しますか?応募者には何を期待しますか?
この質問への回答も長くなりそうですねぇ、、、では、気合いを入れて説明やってみましょうか。イノベーションには、技術を深く理解し、利用できるハッカーだけでなく、クリエイティブ面をリードするヒップスター、デザイナーの協力も必要です。
表現駆動コースでは、ハスラー、ハッカー、ヒップスターの要素を独りで持ち合わせている必要はありません。デザインで、プログラムや物づくりで世界を変える、または、文化を一つ創りあげたいという信念をベースとし、イノベーションの神話に囚われず、イノベーションをおこしたいと思う方からのご応募をお待ちしています。とは言え、イノベーションって言ってもさ、何をからはじめたらいいか分からないよね、と思う方もいるでしょう。イノベーションは、まずは小さく始めて、ユーザを観察することによって、機能を拡大していくなど様々なメソッドがあります。
このコースが考える、セキュリティイノベーター像とはどんな人ですか?どのような人になることを目指しますか?
目標って大切ですよね。一般的に、サービスを創り出すとき、ひとりでやれることは限られています。それぞれが自分の持つスキルセット、マインドセットを出し合い、協力し創り出すことができる人表現駆動コースでは目指しています。
私たちと一緒に、新たなイノベーションの扉を開きましょう。
表現駆動コース 担当トレーナーの紹介
学習駆動コース
コース紹介
どのようなコースですか? 1年間でどのようなことをやりますか?
まずは「作りたいものがあり、それを作る」という「ものづくり」から始めていただきます。作りたいもの、作ってみたいものをどんどん作っていっていただきます。さらに作ることと並行もしくは先行して、何らかの付加的な学習をしたり別のものを作ってみたりなど「寄り道」をしてもOKなコースです。開発の際に、あえて別のものを作ったり、何らかの他技術や他分野の学習を付加的にするなどの「寄り道」をしていただき、新たな知見を得ることで、「作れるもの」「作ってみたいもの」の幅を広げます。作りたいものや作ってみたいものがあり、とりあえず作りたい、作ってさらに幅を広げたい、という人向けのコースです。
育成過程
どのようにセキュリティの知識や意識を身につけますか? 何を目標としますか?
まずは作っていき、その先で、実際に作った開発物を見たり見せたりしながら、何かセキュリティ的要素を考えたり追加できればと思っています。考えてから作るのでなく、作ってから考えるという方針です。
どんな人に
おすすめしますか?
期待する応募者像、応募者に求めるものは?
ものづくりから始めますので、まずは作りたいものがあり、それを自力で作り始めることができる、もしくは作るための勉強が自力でできることです。「よく考え抜いて1個作る」のではなく「とりあえず作れるものを3個作ってみて、その中から良いものが1個見つかればいい。ダメだったらまた別のを作ればいい」という考え方の人におすすめします。
ゼミの紹介
ゼミ | 内容 |
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坂井ゼミ | 坂井が担当します。開発テーマは提示するものの中から選択、もしくは希望の開発テーマを持ち込みしていただきます。OSカーネル、アセンブラ、エミュレータ、コンパイラ、リンカ、組込みソフトウェアなど、主にソフトウェアの低レイヤー分野を扱います。さらに特別な開発テーマとして「技術書執筆」も行います。 |
今岡ゼミ | 今岡が担当します。実際にモノに触れることをテーマとして、光通信(空間伝送)、赤外線通信、無線通信、SDR、AES暗号、超音波、低軌道衛星、自作CPU、FPGA、ROS、Arduino、電子回路設計、ロボット、スペクトル拡散、Wiretapping、半田付け、リバースエンジニアリングといったテーマを扱います。アマチュア無線従事者免許取得者は選考で優遇します。 |
社会実装ゼミ | 園田、岩村、神薗、服部、久保田が担当します。社会的な課題に向き合うテーマ、研究的なテーマや先進的なテーマの深掘りを繰り返しながら開発を進め、実際の売り込みや各種プロモーションを含む普及活動を通して、社会に影響を与えることの実現(社会実装)を目指します。 |
コンテンツゼミ | 園田と久保田が担当します。非技術系も含む、何らかのセキュリティ啓蒙のためのコンテンツ開発と普及を目標とします。例として解説、記事、マンガ、小説、プロット、映像、シナリオ、絵本、ゲームなどを開発し、社会に普及させることを目指します。 |
学習駆動コース
担当トレーナーの紹介
開発駆動コース
コース紹介
どのようなコースですか? 1年間でどのようなことをやりますか?
まずは開発してそのあとで検証して、改良を繰り返していくコースです。何を作るべきかを悩んだら、まず作れるところから作ってみて、それから考えるのです。作ってみることで分かること、作ってみないと分からないことっていっぱいあると思うのです。作る前から悩んでいてもしょうがない、という考え方が好きな人におすすめです。
育成過程
このコースが考える、セキュリティイノベーター像とはどんな人ですか? どのような人になることを目指しますか?
開発駆動のコースマスターである川合は、セキュリティイノベーターはセキュリティ問題を解決していける様々なスキルを持っている人だと思っています。このコースでは主に開発スキルを伸ばしてきますが、それだけで十分だと思っているわけではなく、SecHack365修了後に他のスキルも身につけていってほしいと思っています。少なくとも「自分は〇〇ができないからこの問題は解決できない」などと安易に答えているうちはセキュリティイノベーターではないと思います。
SecHack365には複数のコースがありますが、それはどれを先に延ばしていくかという手段の違いであって、目指すゴールはほぼ同じだろうと思っています。
どんな人に
おすすめしますか?
期待する応募者像、応募者に求めるものは?
このコースは川合ゼミと仲山ゼミのためのコースなので、下記「ゼミの紹介」のどちらかのゼミに興味がある人が選んでください。
ゼミの紹介
ゼミ | 内容 |
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川合ゼミ |
自分に身近な課題を解決するための開発をしたい人(もしくは、川合がサポートできそうな開発をしたい人)詳細は 解決したい課題がセキュリティに関係しなくても応募は可能ですし内容が魅力的なら選考を通過する可能性は十分にありますが、セキュリティに関係していれば加点しますので、こじつけでもいいのでセキュリティにからめてほしいです。 |
仲山ゼミ |
[1]サーバーレスでセキュアなアプリケーションの実現をしたい人 |
開発駆動コース 担当トレーナーの紹介
思索駆動コース
コース紹介
どのようなコースですか? 1年間でどのようなことをやりますか?
思索とは「論理的に筋道を立てて考えること」を意味します。思索駆動コースでは、SecHack365の1年間に限定されることなく「自分が人生を賭けて立ち向かいたい」と思える問題を見つけ出し、ひたすら思索していただきます。時に自分の築き上げた思索の伽藍を自ら破壊し、時に他者から気付きを与えられ、世界で一番「それ」について考えている人は自分以外にいないというほどまで茫漠たる思索の地平をさまよっていただきます。
解像度高く思索するためには、仮説の形成とその検証を繰り返すことが有効です。そのために作品を作り、他者と共有する「開発」も求められます。思索駆動コースでは開発も表現も、より思索を続けるための手段に過ぎません。十分な思索の後に、それを実装して世に送り出したくてたまらない疼きを感じたなら、その時点での自分の能力に制約されることなく、思う存分やりましょう。
育成過程
どのようにセキュリティの知識や意識を身につけますか? 何を目標としますか?
誤解を恐れずに述べるなら、技術の大半は一人で学ぶことができますし、SecHack365では自学できる人を募集しています。一方で、他者との対話により思索を巡らせること、他者とは何者であるか・多様であるとは何かを実感として学ぶことは、一人では困難なことがらです。
SecHack365では年に6回のイベントが開催され、このイベントでは各コースで独自の活動(コースワーク)が行われます。思索駆動はコースワークで「一人では困難なことがら」に焦点を当て、ひたすらに他者との対話を通じて思索を巡らせるという経験を提供します。対話を交わし、思索を繰り返すことにより、問題意識に向けるまなざしの解像度があがることでしょう。
イベント以外では週に1度、オンライン会議システムを用いたゼミが開催されます。このゼミではタイムリーなセキュリティニュースや、話題になっている技術的なトピックを題材として、情報を収集し、それを簡潔にまとめて共有してもらいます。ゼミを通じてより広い視野を獲得することができるかもしれません。
どんな人に
おすすめしますか?
期待する応募者像、応募者に求めるものは?
思索というと「ただ頭で考えているだけ」と思われる人もいるかもしれませんが、人間の体が栄養分を摂取しなければ活動できないのと同様、インプットなくして思索はできません。インプットには多様なものがあり、コーディングが好きな人は開発することがインプットになるでしょうし、絵を描くのが好きな人は作品制作がインプットにもなるでしょう。ものを作ることはアウトプットではなく、インプットのためであるという経験をしたい人に本コースをおすすめします。
その上で具体的に以下のような背景がある人の志望をお待ちしています。
- 既存の常識や社会通念に対して「はて?」と思ったことがあり、どうにかできないかと考えている人。
- 多数派によって虐げられたり、少数派として生き辛さを感じていて、情報技術によりその一部でも解決された世界が見たい人。
- 妄想力旺盛な人。たとえば、世界にはびこる差別や貧困、孤独を取り除いた先にどのような世界が広がるかをつまびらかに思い描ける人。
思索駆動コース
担当トレーナーの紹介
研究駆動コース
コース紹介
どのようなコースですか? 1年間でどのようなことをやりますか?
研究駆動コースでは、情報セキュリティ分野に対するアイデア(理論、モデル、アルゴリズム、システム、サービス等)を実現するにあたって、単に作りたいものを作るだけでなく、「研究アプローチ」に基づいた開発を進めていきます。
情報セキュリティの専門家であるトレーナーの視点において適切にアドバイスを受けながら、コードやアプリ等の実装物はもちろんのこと論文や著書等についても成果物として作成していきます。トレーニー自身が生み出したアイデアを1年じっくりかけて指導及び支援を行うというスタイルをとります。
なお本コースでは、取り組むテーマが社会においてどのような意義があるのかについても重要な要素だと捉えており、トレーニーは自身のテーマと社会との関係についても考えるきっかけが与えられます。
今年度は以下の2つのテーマに取り組む予定です。
[1]人のアイデンティティとは何だと思いますか?たとえば人間の世界では名前であったりあるいはその人の嗜好や趣味などかもしれません、一方デジタルの世界であれば、それはログインIDあるいはQRコードのようなものなのかもしれません。このようにインターネットのようなサイバー世界で個々を表すアイデンティティを実現する技術は色々と確立されつつありますが、それが悪用ないし窃取されるなど様々な問題が起きています。このアイデンティティをテーマとして、OpenIDと呼ばれる世界との繋がりを作る仕組みやオープンバッジ、IDと多要素以外の認証技術、オープンバッジ、などを対象として、マイナンバーカードや学生証、パスポートや決済可能なクレデンシャル等を自由にデザインして、研究の視点で問題点の洗い出しとその解決としてプロトタイプをハッカソンとして作り上げていきます。
[2]ハードウェアとソフトウェアが進化する中で、何かを実現するためのソフトウェアの比重はどんどん大きくなっています。組込みシステムである産業用機器、自動車、家電製品は広域ネットワークにつながりクラウドサービスと連携しながら、複雑な機能を実現するようになってきています。ソフトウェアを中心にしたサービスや機能を実現する際に、その中に潜む脆弱性やセキュリティ上のリスクを分析したり、セキュアでリアルタイムなネットワークプロトコルや組込みシステム向けのプラットフォームやOSを実現したりということを考えていきます。また、その実用的なサービスに向けたプロトタイプを作りデモすることで、既存のシステムとの比較を行いながら提案した機構やシステムを目に見える形の成果物として見せていくことも行います。
育成過程
どのようにセキュリティの知識や意識を身につけますか? 何を目標としますか?
研究アプローチに基づいてテーマに取り組んでいただきます。研究アプローチとしては、既存研究の調査(過去の論文や特許のサーベイ等)を行い、そして現状での課題を洗い出し、その課題を解決する手法を提案、客観的に評価・検証する、という流れをとるのが一般的です。
具体的には、課題を解決するための仮説を立てたり、提案手法の有効性ないしその効果等を評価するためのプロトタイプ実装、実証実験によるデータ収集などに基づいた検証を行っていきます。さらに、アイデアの優位性の主張や成果の展開を目的として、論文やオープンソース等で成果物を世の中に公表するといった流れを取ることも一般的です。このようなアウトプットの適切な方法についてもトレーナー陣はアドバイスします。
私たち「研究駆動コース」においては、トレーニー自身によるアイデアの発想とそれに至る着想を大切にしていることから、応募時点においてトレーニー自身がテーマをある程度設定していただくことにしています。
研究アプローチの基本は、繰り返しとなりますが既存研究・技術などの調査です。今までにどのようなことが実施されてきたのかを可能な限り知り尽くすことから始まります。なお、コースワークとしてはゼミ形式で実施しながら、研究へのモチベーションを高めるサポートをトレーナー全員が一丸となって支援します。
どんな人に
おすすめしますか?
期待する応募者像、応募者に求めるものは?
SecHack365「研究駆動コース」においては、アイデア発想とその着想への経緯を大切にしています。アイデアの創出から始まり、何故それを実施してみたいのか、誰に対して(例えば社会に対して)どのような効果や価値があるのか、に関して突き詰めて検討し実践したいという研究のモチベーションを持っている人に特にお勧めします。
私たちトレーナー陣がトレーニーに求めることは今まで経験してきたようなドリルの問題を単に解くような「問題解決」スタイルではなく、自ら「課題設定」ができる能力を伸ばしてみたいという意欲をトレーニー自身で持つことです。そしてもう1つ、単なる思いつきでは世界には勝てないということに気づいてもらいたい、ということです。
よって、諦めない強い心を作り上げること、これがトレーナーたちが研究駆動コースを運営する上で最も重要視しています。もしかしたら、人によっては少し厳しいコースのように受けとられたかもしれませんが、テーマの着手からアウトプットまで一貫して専門家のトレーナー陣から丁寧なアドバイスや指導が得られるので不安に感じる必要はありません。