SecHack365 : REPORT

SecHack365 2018 第4章 山形回2018.11.06

こんにちは、NICTの鎌田です。10月12日から14日にかけて、SecHack365山形回が開催されました。神奈川、北海道、福岡と3回の集合回を経て、山形回は4回目となります。取り組んでいる制作物を、締切までに形にまとめてポスターデザインに落とし、そのポスターを用いて人に伝えるという、中間発表の最終まとめとなる回でした。 福岡回のプレゼン発表とは異なり、ポスターは1対1または1対3ぐらいの少人数の反応を見ながら解説をします。いろんな人にどうすれば独自の発想を伝えられるか?また、得られたアドバイスやフィードバックをどう吸収して反映すればよいかを考え、一生懸命に取り組んでいました。その様子をレポートいたします。

プログラムはイベント盛りだくさん

  • 1日目はオリエンテーションが終わったら早速ポスター発表があります。 3回に分けて60分ずつ、トレーナー、トレーニー達に見てもらって、解説をして、都度フィードバックをもらいます。
  • 2日目はまずはじめに修了生によるLT(Lightning Talk)と、ポスターの詳細レビュー、リフレッシュタイム、ゲスト講演、トレーナーを囲む会など交流イベント盛りだくさんでした。
  • 3日目の最終日は、コースワークと、習慣化・マンダラートのお話。そして最後にトレーナーとの目標の再設定や制作物のブラッシュアップを行いました。

事務局やトレーナー達はみんなを楽しく元気にするためハロウィンのコスチュームを身に着けていました。 SecHack365-2018山形_01

色とりどりのポスター展示とちょっとした“気づき”

横山先生から「ここまで継続できていることを、まずは仲間同士で褒め合いましょう。パチパチパチ(拍手)そして、ここから。とくにアウトプットした後は厳しいことを言われるので、まずは受け止める。受け止めたあとそれを良いものにしていくことがとても大切です。」というお話が冒頭にありました。 SecHack365-2018山形_02 SecHack365-2018山形_03

ポスターは開発駆動コースから8点、思索駆動コースから8点、表現駆動コースから18点ありました。ポスター作りが初めての方も居たと思います。伝わると思っていた言葉や、頭の中で思い描いていたものがなかなか相手に伝わらないといった様子もありました。フィードバックを与える側も、トレーニー達が何気ない言葉を必要以上に重く受け止めてしまわないように、慎重にアドバイスをする姿もありました。

ポスターの内容ですが、アイデアに関わることなので残念ながら全容をご紹介できません。しかし、それではレポートとしてSecHack365の魅力を充分に伝えられないので、その一片ですが、ご紹介します。ダークネットの解析から、中学生以下の子供達がネットリテラシーを学べる仕組みづくり、プログラミング教育のアプリの開発、IoT機器をセキュリティ脅威から守るものや、セキュリティエンジニアのためのソフトウェア開発、川合トレーナーの開発したプログラミング言語Essenのデバック支援機能、セキュアなCPUの提案、セキュアなSNSの世界を目指した啓発のシステムや、Webフレームワークの開発、デバックのためのコマンド開発、今までにない新たな認証方法の開発などがありました。さらには技術本の執筆をしているトレーニーも。

中には、一見したときにセキュリティの視点がパッとわかりにくいものもあります。どう新しいものにしていくか、作って行く中でその機能にどう磨きをかけるか。付箋紙やホワイトボードなどを使ったりして、豊富な知見のあるトレーナーと丁寧にディスカッションを行いました。

モノづくりの過程の中で、セキュアな視点を持ち、考えること。将来どんな職に就いたとしても、”モノづくり”の過程では実はそれがとても重要なのです。ちょっとした気づきが、これから大きな成長につながります。 SecHack365-2018山形_04

脳に新鮮な空気を!リフレッシュタイムはお散歩?それともランニング?

ぞろぞろっと茶色いパーカーを着た若者の集団がロープウェイで鳥兜山山頂に上ります。その間、PCはお預けです。雪のないスキー場のまわりをぐるっとお散歩。綺麗な紅葉を眺めて、湖(沼)の静けさを感じ、心身リラックス。彩とりどりの木々を眺め、透き通った空気を吸う。ゆっくり歩きながら仲間と交わした何気ない会話が、どんなふうに心に残ったのでしょう。

SecHack365-2018山形_05 (※走って登って、下った人たちが居ます・・・。そのほうが心地が良いのかな)

修了後がもっと楽しいSecHack365

前回に引き続き山形には4名の修了生が来てくれました。集合会に修了生をお招きする理由には大きく2つ。1つは今頑張っているトレーニー達を技術的にも、精神的にも応援するため。もう1つは修了後も繋がりを通し、世代を超えてコミュニティを活性化するところにあります。

LTのトップバッターは三嶋さん。ソフトウェア開発の難点はリリースした後のデバックや修正パッチのコストが高いこと。このことを解決して貢献できることはないかと調べ、行きついたのが「American Fuzzy rop」だったそうです。最終目標は人の手を頼らないことだそうですが、SecHack365 でやったことは最初の1歩でしかなということ。やってみることが大事で、やってみて失敗することはどうでもいいので、とにかく結果をアウトプットすることが大切ですよ、と昨年度の経験から学んだことを共有してくれました。

2人目は湯川さん。レーザーポインターで家電を操るというとてもユニークな成果物を発表した方です。彼のアドバイスは「名刺を作ること」。成果発表会で名刺をたくさんもらったものの、自分の名刺を渡せなかったことが後悔したことの一つだったそうです。しかし名刺を渡していなくても、修了後にいろんなところでチャンスが広がったそう。電気学会に呼ばれたり、賞を受賞する機会があったのだとか。 3人目は、仲地さん。小林さんとの2人チームで、フィッシングサイト判定システムを作り、北國新聞などにも紹介されました。彼はもともと機械学習とフィッシングサイトのデータセットを使って何かを作りたいという動機があったそうです。楽しいのと苦しいことの繰り返しでしたが、結論としてはSecHack365は楽しい!とのことでした。 SecHack365-2018山形_06

4人目は丸山さん。澤さんとのチームで分散Webプラットフォームを作りました。自然災害など何らかの原因でネットが落ちたときに代替えとなる技術で、”ブロックチェーンの技術”で動く分散Webプラットフォームを考えたそうです。修了後にはセキュリティキャンプのチューターとして呼んでもらえたり、多階層ブロックチェーンの研究ができたりとチャンスに恵まれたそう。また、睡眠をとること、体調管理だけは気を付けてくださいね、とのことでした。

トレーニー達は年齢の近い先輩たちのリアルな話を聞いて、モチベーションが上がったと思います。『優秀な』修了生、楽しくてためになるLT、ありがとうございました。

CanSatの研究で面白いアイデア

埼玉工業大学から、CanSatの研究をされている服部聖彦(はっとりきよひこ)先生をお迎えして、講演をしていただきました。CanSatというのは、「缶」と「サテライト(衛星)」を掛け合わせた造語です。小型衛星にはCubeSatというものがあるのですが、こちらは作るのが大変で、何より打ち上げまで莫大な費用がかかります。そこで、大学の研究者用に広まったのがこの模擬人工衛星の打ち上げロケットCanSatなのだそう。宇宙にまでは行かず、約4000mの打ち上げから着地までの実験用衛星です。ARLISSというロボットコンペでは、このCanSatでゴール地点まで無事にたどり着けるかを競技します。 CanSatの分類には4種類ぐらいあるのですが、最近の主流はローバー型。面白いCanSatの例として、”The Marsnet”というチームが作った小型無線機を置いて地上にネットワークをつくるというアイデアを紹介してもらいました。小さなローバーから傘のようなロボット型のルータがピョン!と出てくる映像を見せてもらったのですが、まるで映画のシーンのようで、会場からは歓声まで上がりました。 アメリカや日本の航空規制の差や、その限られた条件範囲での開発、発展、そして発想の柔軟性など、多くのことを学べたと思います。服部先生、ありがとうございました。 SecHack365-2018山形_07 SecHack365-2018山形_08

やる気は行動によって生まれる

恒例の「習慣化」のお話。園田センター長の習慣化(4)のお話では、「やる気は行動によって生まれる」ということで、ぐるぐる考えているだけではだめ、実際に頭の上にみかんを置いてみるとやる気が出るので、やってみてくださいという嘘のような本当のお話がありました。そして早速実践している人が居ました。みかんではなくてコップですけどね。 SecHack365-2018山形_09 SecHack365-2018山形_10

海外派遣の要員募集、たった3名のプレミアム枠

「君たちに自由を与えにきたぞ!」と、意気揚々に現れたのが海賊コスチュームをした佐藤公信(さとうひろのぶ)トレーナー。自前のハロウィンコスチュームだそうです。2019年3月、アメリカ・ネバタ州で行われるイベント、SXSW(サウスバイ・サウスウェスト)の海外派遣の募集告知、ハッカソン要員の募集のお知らせです。行けるのはたったの3名!さて、この好機に選ばれるのはいったい誰でしょう。 SecHack365-2018山形_11

次回は愛媛でデモ展示

イベントがたくさんあった山形回。作りたいものを形にしていく中で、悩みも人それぞれ。仲間がいることで刺激になったり助けになったりすると思います。次回の愛媛回では、とうとう動くデモをお披露目します。乞うご期待! SecHack365-2018山形_12 SecHack365-2018山形_13

「SecHack365トレーナーから、愛のメッセージ!」
思索駆動コースを担当しています、柏崎です。 SecHack365のトレーニング期間で実現したいことをあれこれ考え続けてきたトレーニーは、山形回で方針をビシっと決めなければいけない現実を突き付けられます。SecHack365の「最終」成果報告会はポスター形式で行われますから、山形回というのは否応なく「終わり」を意識させられる作りになっていると言えるでしょう。ポスター発表は口頭発表と異なり、密度や完成度という観点で他トレーニーとの仕上がりの違いが歴然と顕在化します。この違いから自信を得るトレーニーもいますし、焦燥感や劣等感に苛まれるトレーニーもいます。そういう感情にどれだけ、どのように寄り添うかがコースマスターのお仕事と言えるかもしれません。