SecHack365 : REPORT

SecHack365 2018 第3章 福岡回2018.09.14

みなさん、こんにちは。NICTの鎌田です。
8月22日から24日にかけて、SecHack365福岡回が開催されました。(SecHack365では約2か月に1回全員で集合する回があります。)3回目となるこの集合回は、作りたいものをだんだんと形にしていくための回。たくさんの人に見てもらってフィードバックを得るための”中間発表”もプログラムに含まれています。
また、開発してからどのようにサービスをユーザーに届けるか、サービスをサポートしているのかを学ぶ、SecHack365流キャリア教育『先端技術企業訪問』として、株式会社ヌーラボを訪問しました。

Backlog開発者との交流

1日目は、福岡市に本社のある株式会社ヌーラボ(以下、ヌーラボ)に直接集合しました。
ヌーラボはWeb系の開発者に人気のあるプロジェクト管理ツール『Backlog(バックログ)』を中心に、チームで働く人向けにWEBサービスを提供している、現在急成長中の会社です。(8月24日時点でBacklogのユーザーが100万人突破)SecHack365の課題管理やコミュニケーションツールにも、BacklogやTypetalkを使っています。国産であることから開発者との距離も近く、利用者の要望も気軽に伝えることができるという利点があります。毎日利用しているSecHack365のトレーニー達が、日本製ソフトウェアの品質向上に、少しだけ役立っていると言えるかもしれません。
今回、ヌーラボの社長である橋本正徳氏にご登壇いただき、起業してサービスを作るとはどういうことか、ご自身の経験を交えてお話いただきました。トレーニーからの「なぜ会社を立ち上げたのですか」という質問には、「会社を立ち上げた動機は、単純にお金が欲しかったから」と橋本社長。でも社員の満足度を高めるため、あれこれと試行錯誤していくうちに多くの人が使いたいサービスを提供する会社に、いつの間にか成長していたのだとか。(社員満足度駆動(笑))Backlogの開発者でもある縣氏には、サービス立ち上げ時の貴重なお話をしていただきました。

講演の後はヌーラボの社員のみなさん(ヌーラバーと呼んでいるそうです)にも参加いただきグループディスカッションを行いました。トレーニーたちのグループに各1名ずつ入っていただき、普段担当されているお仕事の話を中心に、トレーニーたちの質問にざっくばらんに回答いただきました。個人で開発することの多かったトレーニーにとっては、チームで開発すること、有償のサービスを提供しサポートしている現場の声を聞けたことは、大変貴重だったのではないでしょうか。同じITサービスの開発とはいえ、年代が違うと環境も変わります。例えば今のトレーニー達には学ぶ素材や知見がネットで広く共有されているので、どんどん活用すべきでは?など、経験を重ねた技術者ならではのアドバイスをもらいました。とても盛り上がり、時間が過ぎるのはあっという間でした。(詳しくは、ヌーラボの広報担当のMeggyさんのブログをクリック)Meggyさん、ヌーラボのみなさん、ありがとうございました!

優秀な2017修了生、3人が登場!

実は福岡回では、昨年度の修了生をお招きしていました。今回来てもらったのは澤田さん、手柴さん、三須さんの3名です。(手柴さんが所属したチームは「安全・快適なカーライフ」、澤田さんの所属したチームは「お家の状態がわかるIoT管理システム」、三須さんは「MailTotal」のチームです。ぜひ成果ポスターをご覧ください)トレーニー達へのアドバイスなどを中心に発表がありました。司会側から「優秀な修了生達です」という紹介をされ、少し照れていたのはご愛敬。きっと昨年のSecHack365の発表経験で鍛えられたのでしょう、場を盛り上げる余裕もありました。この3人の中には、米国の巨大イベント/ハッカソンSXSWに参加した方もいます。また、NICTの国際アドコミのイベントでのポスター展示、JAWS-UGSORACOM-UGなどといったクラウド系の外部コミュニティで登壇もされている方やセキュリティ・キャンプ全国大会2018にチューターとして参加している方もいて、修了された後も広く活躍されている様子です。
SecHack365の1年が終わっても成長し続ける修了生の姿を見ることができて、心なしかトレーニー達は表情が活き活きしていました。先輩たちの発表は刺激と励みになるはず。修了生達は引き続きday2,day3も参加します。

夜は再び習慣化とマンダラートのお話

「習慣化を阻害する要因を掘り下げてみよう」と、園田センター長のフォローアップ・ミニセッション。神奈川回から3回続けて習慣化の話をされています。脳は見たものに反応し、マネをしたがります。だけどそれが人の場合、見本やお手本となる人は良いものでないとダメだそう。なぜかというと、サボっている人を見てしまうと、その人のことを観察・分析してしまい、気づかずにそれをマネしようとしてしまうのです。そういうことを避け、能動的にいい人の真似するようにすることが大事だ、というお話がありました。

次に、「マンダラート」の佳山さん。マンダラートは目標を細分化して実行に移すためのツールです。(詳しくは前回レポート参照)佳山さんは一人ずつ、できているところ、良いところを確認していきました。トレーニー同士の良い例を見てみな刺激をうけたのではないでしょうか。

2日目!いよいよ中間発表

ひとり5分の持ち時間で、成果発表会までに自分が作りたいものについての中間発表がありました。どんなものを作りたいのか、作っているのか、状況の共有です。これに対し、トレーナーはもちろんのこと、トレーニー達もオンライン上で助言や感想を発信します。人に伝えようとすることで、情報をまとめる力をつけ、客観的な視点でモノづくりを見ることができるのです。朝9時30分から12時30分まで前半で約20名が立て続けに発表します。聞く方もかなりの集中力が要求されます。

午後に自由発想法の時間を挟み、後半も同じ流れで発表します。年長者から始めて、最後は一番若い中学生です。こんなものを作りたいんだよ、こういうアプローチで作るよ、ここら辺の学習をしているよ、プログラミング言語のRustが好きになったよ、紆余曲折してるけど暗号技術で何かやることにしたよ、実装始めているよ、興味がある人は一緒にやろうよ、プログラミングの本を執筆しているよ、と発表の内容は様々。

聞いている側のトレーニーたちは発表者の発想をオンライン上で褒めたり、ここをもっとこうすると良いんじゃないかな、といった素直な感想を書き込んだり、本を執筆しているトレーニーが居ればレビュー協力に手をあげるなど、コミュニケーションの濃度が一気に上がりました。

発表後その内容をもって、トレーナー・トレーニー達と交流する時間となりました。トレーナーによっては専門が違うため、もっと専門的で詳しく聞きたいことがある人は、コース外のトレーナー達にも積極的に話しかけに行きました。

くぼたつ道場「自然発想法」

中間発表の合間に外に出てアイデア探し!自然発想法?そう、去年と同じく海です!! どっどーん!

くぼたつ先生と一緒に海に浮かび、自然に身を委ね、頭の中を空っぽにします。

波に乗って、空を見上げると緩やかに流れる白い雲達。 おそらく、海の近くに住んでいる方は少数。都会暮らしや山里暮らしのトレーニーにとって海はきっと新鮮。存分にアイデアを考え、色々な事を頭の中に描いたのでしょう。とても楽しそうに過ごしていました。

そして、トレーニーの中には、朝の散歩中に見かけた海のゴミに問題意識を感じ、ゴミ拾いを提案して実行した人達もいます。自発的にこういうことができる人って、素敵ですね。(握手したいっ、ハグしたいっ)

寝る間も惜しい、自由時間

思索駆動コース、開発駆動コース、表現駆動コースはそれぞれに朝や夜の自由時間を活用すべく課題が出されています。一つ良いことをもらったら、三つ良いことをする。映画「ペイ・フォワード」からヒントを得て、システムづくりに活かせないかと柏崎先生も小さな哲学談義をしていました。

宿泊先のロビーには、コードを書いたり、開発に耽るチームの姿がありました。みんなと会える集合回の時間は、夜の寝る時間も惜しいのです。中には朝まで起きてコードを書いてた人もいるのだそう。

夢中で取り組むのもいいけれど、体調管理は大丈夫でしょうか。ちょっと心配ですが、好きなことに夢中になれる時というものも大切にして欲しい、ジレンマです。

3日目は本物の検事による「倫理セッション」

3日目の午後には、検察庁からNICTに研修に来ておられる冨士崎先生から、倫理についてのお話がありました。(冨士崎先生はNICTでサイバー犯罪を学んでいます)

「歩きスマホ、自転車スマホ、自動車スマホこれのうちどれが法律で罰せられるかわかる人?」たくさんのトレーニーが手を挙げます。

回答は自転車と自動車。そう、運転中の自転車スマホは人に危害を及ぼす恐れがあるからです。(もちろん歩きスマホも危険です)そこに悪意がなくとも、人は罪を犯す可能性がゼロとは言い切れず、事件になった場合、「過失」として法律で罰せられるのです。

普段、「自分は悪いことしていないから、刑務所や法律は関係ないよね」と思っていても、法に触れる行為をしてしまう可能性があることを注意喚起されていました。新しい技術の力を手に入れると、次にもっとすごいことをしてみたいと思うのが人間の性。一度立ち止まり行動を起こす前に法に触れないか、一部の人に役立っても他の人には迷惑ではないか、思考を張り巡らせるということが大事だという事を教えてもらいました。このセッションはとても人気で、セッションが修了した後もトレーニー達は先生の周りに集まりました。

さて、次は山形にて開催です。中間発表で発表した内容を振り返り、いろんな人の意見やアドバイスをたくさん吸収して、次につなげてもらいたいと思います。
また会えるのを楽しみにしています!

新設コーナー「SecHack365トレーナーから、愛のメッセージ!」
福岡回のプロデューサーとしてイベント内容を企画した横山です。 今回の福岡回はSecHack365にとってのひとつのマイルストーンです。トレーニーには自分がやっている作品づくりのテーマを全員に伝えること、お互いのテーマを認識して、助言や議論をしてもらいたいとの考えで、中間発表をお願いしました。5分という短い発表時間でしたが、しっかりと問題意識や動機やこだわりなど、なぜそのテーマをやるのか、どのような作品を作りたいのかを説明してくれていました。また、自分以外の発表についてもしっかり聞いて、コメントを残したり、議論をしてくれている様子を嬉しく思いました。次の山形回に向けて、今度は作品の様子を見せられるように頑張ってみてくださいね。